アメリカへの
販路開拓について
今、なぜアメリカなのか
米国で最も日系人が多いカリフォルニア州は、日本に好意的なエリア。
2000年の米国国勢調査によると、米国の日系人人口は、純血の日系人が約80万人、他の民族との混血も加えた数字が約115万人となっています。
このうち、カリフォルニア州は、それぞれ約29万人(日系のみ)、約40万人(他民族系との混血も含む)で、米国で最も日系人が多い州となっています。
実際、南カリフォルニアには、米国でも最大の日系コミュニティがあり、42の県人会、県人会協議会、南加日系商工会議所、日米文化会館、全米日系人博物館、敬老シニア・ヘルス・ケアなど、極めて多くの日系団体が存在。
日本食や日本文化への理解が深く、好意的に受け入れられています。
米国で最も日本食レストランが多いカリフォルニア州は、日本食発信の拠点。
全米の日本食レストラン店舗数ランキングをみると、
- 第1位 カリフォルニア州 4468軒
- 第2位 ニューヨーク州 1892軒
カリフォルニア州は、米国における日本食の新しいトレンド発信地として重要な地位を占めています。
米国における日本食レストランは、2010年~18年の8年間で約4500軒増加。
日本食が幅広い客層に受け入れられていることが伺えます(出典:JETRO 2018年「米国における日本食レストラン動向調査」)。
近年、邦人人口は減少傾向にありますが、日本料理店は現地の人々から支持されており、今後も増加するものとみられています。
高級レストランの大半は、寿司の食材となる旬の魚介類やワサビなどを日本から空輸。
日本とアメリカではネタの下処理などに大きな差があるため、食材にこだわるシェフは日本からの輸入物を重用しています。
ロサンゼルスは、米国の流通の中心地で、日本との直行便も豊富。
日本から約10時間のフライトで到着するロサンゼルスは、米国の流通の中心地。
日系輸入商社・卸商のほとんどが、ロサンゼルス地域に本社を構えています。
また、日本食レストランなどの業務用市場、大型の日系スーパーマーケットチェーンの展開が最も進んだエリアでもあり、小売消費者市場への商品の導入や販売促進活動がより簡単です。
現地コーディネーター
エリアアドバイザー藤井康寛
1975年渡米。
ロサンゼルス日系TV局ディレクター、DENTSU Y&R/(株)電通アメリカ・アカウントスーパーバイザー、米国森永乳業営業部長を経て、2013年より島根県海外コーディネーター兼アドバイザー。
これまでに、米国日清食品、ハウス食品アメリカ、キリンビール・アメリカ、紀文アメリカといった大手食品メーカーの他、資生堂アメリカ、ノースウエスト航空、パイオニア・レーザーディスク等の広告・マーケティングに携わり、米国主要市場およびエスニック市場への浸透・販売向上を主導。
米国森永乳業では、欧州市場への直接販売を開始し、インド・中東・ロシア市場も開拓するなど、10年間で販売数量を5倍以上に伸ばすなどの成果を上げた。
Pepperdine University 大学院(MBA)卒。
戦略的マーケティングに基づくアプローチを重視し、米国内及び海外市場での販路拡大の経験を持っている。
エリアディレクター寺坂重人
「Japan Hollywood Network」代表取締役社長
大学卒業後、貿易商社に入社し、1990年~99年の約10年間を香港~上海で勤務する。
その後1999年に渡米し、現地TV局に勤め、さまざまな分野(セミナー、バラエティ、J-POPなど)にまたがる複数のイベントをプロデュ-サーとして開催。
2009年の米国でデジタル放送が開始されると、南カリフォルニアで唯一となる毎日24時間の日米バイリンガル地上波放送を開始。
近年は、外務省外交政策課「JAPAN HOUSE-LosAngeles-」設立プロジェクトメンバーに2015年より参加。
2018年に「Japan Hollywood Network」社を設立。
メディア活動を通して日本文化のアメリカへの浸透に努めると共に、日本食の海外普及を目指した様々な事業に携わり、東海岸ニューヨークなどの地域との連携も取り、食文化の普及に務めている。
アメリカで好まれる日本食
日本食をアメリカ庶民の味として定着させるために。
アメリカでは、日本食ブームが続いています。
というよりも、むしろブームが加速して、新しい段階に突入しています。
過去40年を振り返ると、まず鉄板焼きブームがあり、寿司ブームがあり、現在ではラーメンブームが拡大しています。
従来は「マニア向けの高級外国料理」と思われていた日本食が、「日常の食事」の1つになってきました。
スーパーマーケットでは「SUSHI」が普通にテイクアウトされていて、最近では「BENTO」という日本語も浸透し、シャケ弁当やトンカツ弁当が好評です。
日本食がアメリカ庶民の生活に入りつつあります。
ちなみに、アメリカにおける外国料理の普及ランキングは、
- 1位 メキシコ料理
- 2位 イタリア料理
- 3位 中華料理
- 4位 日本食
インド料理やフランス料理と比べると、圧倒的に普及しています。
「マニア向けの高級外国料理」だった日本食を「庶民の味」として定着させるには、現地の嗜好、アメリカ人の舌に合わせることが重要です。
メキシカンファストフードのTaco Bellや、アメリカンピザのPIZZA HUT、テイクアウト中華のPanda Expressも、完全にアメリカナイズされた料理で、オリジナルとは別物となっているのが現状です。
アメリカでは現在、トンカツ・カラアゲ、タコヤキなどのファンも増加し、日本の食材も流通していますが、一般のアメリカ家庭に日本食を浸透させるには、アメリカの食習慣に適応したプレゼンテーションが重要です。
さらなる日本食の拡大に必要なものは?
現在、米国のスーパーマーケットで当たり前のように販売されている寿司も、当初は受け入れられず、ワサビ抜きがほとんどでした。大人気のカリフォルニア巻も、黒い海苔に抵抗感があった初心者のために、海苔を内側に巻き込んで隠したことで人気になりました。
このように様々な工夫を重ね、米国ファンを獲得してきた日本食ですが、ここから先のさらなる拡大には、より一歩踏み込んだ「現地化」が必要です。
しかし、そこに大きな障害が立ちはだかっています。
それは、地域の嗜好に合わせて「現地化」した日本食を「なんちゃって日本食」として批判する輩です。
その結果として、アメリカの大量消費マーケット向けの日本食ビジネスは、英国資本やオランダ資本などの大規模投資に席巻されつつあります。
この「なんちゃって日本食」の登場には大きな理由があり、そこには大きなビジネスチャンスがあることに気づくことが大切です。
アメリカ西海岸における販路拡大実績
令和3年度第3回共同協業販路開拓支援事業「HIROSHIMA Foodies Choice」での「テスト販売」では、戦略的なメディアプロモーションが成功し、コロナ禍にも関わらず、2,110,320円(目標達成率349%)を達成。
広島加工食品の海外進出を支援するために、8社15商品を選び、ロサンゼルスでの「テスト販売」「アンケート調査」「プロモーション」などを実施。
目標販売数を達成し、バイヤーとの商談会を通じて販売継続・販路拡大を実現。
スーパーマーケットの実店鋪にて全商品を販売し、多くの商品がほぼ完売しました。
EC店舗においても優れた販売結果を出し、EC市場の有効性を示すとともに、実店舗とEC店舗との連動が在庫を少なくする優れた販売活動の仕組みであることを証明しました。
コロナ禍の販促力不足(試食デモ不可)を補うため、テレビ・雑誌媒体による告知を増強。
その結果、テレビ・雑誌媒体による告知が日系市場に有効な手段であることが明らかとなりました。