アメリカへの
販路開拓について
今、なぜアメリカなのか
ロサンゼルスは「日本食ブームの火付け役」
ロサンゼルスは、アメリカのカリフォルニア州南部に位置し、人口約1,200万人を抱える大都市圏である。ロサンゼルス市は政治・経済の中心となっており、ハリウッドやサンタモニカは観光やエンターテイメント産業で知られる地域、ビバリーヒルズといった富裕層が住む地域、ロングビーチといった太平洋岸最大規模の貿易港を有する地域など、多様な特徴を持つ都市である。こうした特性から、ロサンゼルスは様々な文化が共存し、様々な食文化が受け入れられている。また、ロサンゼルスでは英語以外の自国語を話す人々が半数以上を占めており、多様な言語や文化が融合している。
ロサンゼルスには多くのアジア系住民がおり、その中には日本人も多く含まれている。ロサンゼルス郡には約9万5千人の日系人が居住しており、アメリカ合衆国において日系人が最も多く居住している地域の一つである。これらの要因から、ロサンゼルスは日本の食品を販売するための魅力的な市場となっており、日本の食文化に対する需要が高い傾向にある。
さらに、ロサンゼルスには多数の日系企業が存在しており、彼らが運営するスーパーマーケットや飲食店では、日本の食品が幅広く扱われており、『日本食ブームの火付け役』となっている。例えば、1980年代に登場した「カリフォルニアロール」が挙げられる。カリフォルニアロールは、アメリカ風にアレンジされたロール寿司で、カニカマ、アボカド、キュウリ、マヨネーズ、タバスコなどが具材として使用されている。このカリフォルニアロールは、和食に慣れていないアメリカ人にも受け入れられ、日本食の知名度を高めたことで、ロサンゼルスをはじめとするアメリカ全土に日本食のブームを巻き起こした。その後、寿司やラーメン、てんぷらなどの日本食店が急増し、現在でも日本食はアメリカで人気のある料理の一つとなっている。これらの現象は日系企業が、日本の食品の販売において重要な役割を果たしていることを示している。
[*ちなみに、全米にある日本食レストランの軒数は、2010年〜2022年の12年間で約9,000軒増加し、日本食が幅広い客層に受け入れられていることが伺える(出典:JETRO 2022年「米国における日本食レストラン動向調査」)。中でもカリフォルニア州(ロサンゼルス)の店舗数は群を抜いており4,995で第1位。ちなみに2位はニューヨーク州で1,936軒である。ロサンゼルスはアメリカでの日本食の新しいトレンド発信地として重要な地位を占めている。]
ロサンゼルスにおける健康志向と日本食ビジネスの可能性
ロサンゼルスは健康志向の人々が多く住む街としても知られており、ベジタリアンやヴィーガンを好む人々が多いことが特徴である。
そのため、ヘルシーな日本食やベジタリアン向けの食品に対する需要も高まっており、日本の食品を販売するチャンスがある。
一方で、アメリカの食品市場は厳しい競争が存在するため、販売する商品や戦略を選択する必要がある。さらに、最新の市場調査や正確な情報に基づいて戦略の策定することも重要である。市場のニーズやトレンドを把握し、競合商品との差別化や商品の魅力を訴求する戦略を検討することが求められる。
現地コーディネーター
エリアアドバイザー藤井康寛
1975年渡米。
ロサンゼルス日系TV局ディレクター、DENTSU Y&R/(株)電通アメリカ・アカウントスーパーバイザー、米国森永乳業営業部長を経て、2013年より島根県海外コーディネーター兼アドバイザー。
これまでに、米国日清食品、ハウス食品アメリカ、キリンビール・アメリカ、紀文アメリカといった大手食品メーカーの他、資生堂アメリカ、ノースウエスト航空、パイオニア・レーザーディスク等の広告・マーケティングに携わり、米国主要市場およびエスニック市場への浸透・販売向上を主導。
米国森永乳業では、欧州市場への直接販売を開始し、インド・中東・ロシア市場も開拓するなど、10年間で販売数量を5倍以上に伸ばすなどの成果を上げた。
Pepperdine University 大学院(MBA)卒。
戦略的マーケティングに基づくアプローチを重視し、米国内及び海外市場での販路拡大の経験を持っている。
エリアディレクター寺坂重人
「Japan Hollywood Network」代表取締役社長
大学卒業後、貿易商社に入社し、1990年~99年の約10年間を香港~上海で勤務する。
その後1999年に渡米し、現地TV局に勤め、さまざまな分野(セミナー、バラエティ、J-POPなど)にまたがる複数のイベントをプロデュ-サーとして開催。
2009年の米国でデジタル放送が開始されると、南カリフォルニアで唯一となる毎日24時間の日米バイリンガル地上波放送を開始。
近年は、外務省外交政策課「JAPAN HOUSE-LosAngeles-」設立プロジェクトメンバーに2015年より参加。
2018年に「Japan Hollywood Network」社を設立。
メディア活動を通して日本文化のアメリカへの浸透に努めると共に、日本食の海外普及を目指した様々な事業に携わり、東海岸ニューヨークなどの地域との連携も取り、食文化の普及に務めている。
アメリカで好まれる日本食
日本食をアメリカ庶民の味として定着させるために。
アメリカでは、日本食ブームが続いています。
というよりも、むしろブームが加速して、新しい段階に突入しています。
過去40年を振り返ると、まず鉄板焼きブームがあり、寿司ブームがあり、現在ではラーメンブームが拡大しています。
従来は「マニア向けの高級外国料理」と思われていた日本食が、「日常の食事」の1つになってきました。
スーパーマーケットでは「SUSHI」が普通にテイクアウトされていて、最近では「BENTO」という日本語も浸透し、シャケ弁当やトンカツ弁当が好評です。
日本食がアメリカ庶民の生活に入りつつあります。
ちなみに、アメリカにおける外国料理の普及ランキングは、
- 1位 メキシコ料理
- 2位 イタリア料理
- 3位 中華料理
- 4位 日本食
インド料理やフランス料理と比べると、圧倒的に普及しています。
「マニア向けの高級外国料理」だった日本食を「庶民の味」として定着させるには、現地の嗜好、アメリカ人の舌に合わせることが重要です。
メキシカンファストフードのTaco Bellや、アメリカンピザのPIZZA HUT、テイクアウト中華のPanda Expressも、完全にアメリカナイズされた料理で、オリジナルとは別物となっているのが現状です。
アメリカでは現在、トンカツ・カラアゲ、タコヤキなどのファンも増加し、日本の食材も流通していますが、一般のアメリカ家庭に日本食を浸透させるには、アメリカの食習慣に適応したプレゼンテーションが重要です。
さらなる日本食の拡大に必要なものは?
現在、米国のスーパーマーケットで当たり前のように販売されている寿司も、当初は受け入れられず、ワサビ抜きがほとんどでした。大人気のカリフォルニア巻も、黒い海苔に抵抗感があった初心者のために、海苔を内側に巻き込んで隠したことで人気になりました。
このように様々な工夫を重ね、米国ファンを獲得してきた日本食ですが、ここから先のさらなる拡大には、より一歩踏み込んだ「現地化」が必要です。
しかし、そこに大きな障害が立ちはだかっています。
それは、地域の嗜好に合わせて「現地化」した日本食を「なんちゃって日本食」として批判する輩です。
その結果として、アメリカの大量消費マーケット向けの日本食ビジネスは、英国資本やオランダ資本などの大規模投資に席巻されつつあります。
この「なんちゃって日本食」の登場には大きな理由があり、そこには大きなビジネスチャンスがあることに気づくことが大切です。
アメリカ西海岸における販路拡大実績
2021年
第3回共同協業販路開拓支援事業「HIROSHIMA Foodies Choice」
令和3年度第3回共同協業販路開拓支援事業「HIROSHIMA Foodies Choice」における「テスト販売」は成功し、コロナ禍にも関わらず、2,110,320円(目標達成率349%)を達成。
広島加工食品の海外進出支援のために8社15商品を選び、ロサンゼルスでの「テスト販売」「アンケート調査」「プロモーション」を実施。目標販売数を達成し、バイヤーとの商談会を通じて販売継続・販路拡大を実現。
スーパーマーケットで全商品がほぼ完売しました。テレビ・雑誌媒体の告知を増強して、日系市場に有効な手段であることも明らかになりました。